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年金を知ろう

公的年金基礎知識


当ページをご覧頂きありがとうございます。

 

 新型コロナの流行による経済情勢の悪化等何かと暗い話題が多い昨今の経済情勢において、若い世代から定年退職目前の世代までいずれの世代においても年金に対する興味、関心が年々増してきていると言われています。

 

 しかし、年金の制度を詳しく理解している人は決して多くありません。その理由は、年金制度が改正に次ぐ改正で非常難解な制度になっているから、そして年金制度に関して知る機会が非常に限られているからだと考えられています。

 

 年齢を重ねることによって受給できる老齢年金に関しては定期的に「年金定期便」を見ればある程度想像がつくかもしれませんが、当然の事ながら老齢年金以外にも様々な保障があり、そのほとんどは自ら申請をしなければ受給できないような制度設計になっています。

 

 多くの場合は年金機構をはじめ関係省庁やお住いの市町村などから案内がありますが、日本年金機構の前身である社会保険庁のずさんな個人情報管理によって、案内があるはずなのに実際には案内がなかったり、年金額が本来貰える額と違っていたという話も聞きます。

 

 年金は多くの方の経済的生命線になることから、年金に関する基礎的な知識は持っていて損はしません。

 

 

 今回、殆どの方が被保険者(加入者)となっている"国民年金"と多くのサラリーマンが被保険者となる"厚生年金"を簡単に紹介します。これらの制度をもっと詳しく知りたい方は、お気軽に当事務所へお問合せください。

国民年金について

国民年金とは

 国民年金は日本国民の20歳から60歳までの方の殆どが加入している公的年金で基本的には一部を除き20歳から60歳までの日本国民は義務加入とされています。しかしながら昭和61年3月以前は義務加入ではなかったので、過去には「国民年金には加入してないよ」という方も居ました。

 

 一部の方から「主婦(主夫)は国民年金に加入しなくっても良いって聞いたよ」「厚生年金に加入している人は国民年金に加入しなくっても良いってきいたよ」という声も聞こえてきそうですが、主婦(主夫)の方も厚生年金加入者で国民年金保険料を納付していない方もちゃんと国民年金に加入していることになっているのです。どのような制度になっているのでしょうか。

国民年金被保険者(国民年金加入者)の種類

国民年金の被保険者は3種類あります。

@第1号被保険者
 (第2号被保険者、第3号被保険者でない20歳以上60歳未満の者/一部を除く)
A第2号被保険者
 (厚生年金の被保険者/一部を除く)
B第3号被保険者
 (第2号被保険者の配偶者であって主として配偶者の収入によって生計を維持する20歳以上60歳未満の者/一部を除く)

 上記のうち、国民年金保険料として直接年金保険料を納付するのは@第1号被保険者のみとなっています。ですのでA第2号被保険者、B第3号被保険者は国民年金の被保険者という考えが薄くなってしまいますが、多くの国民年金の保障を@第1号被保険者と同様に受けることが出来ます。

 

 なお、第1号被保険者はお住まいの市町村役場にて手続きを行い、月額\16,590(令和4年9月現在)を納付する必要があります。この金額は法定金額として定められた月額\17,000(令和4年9月現在)に毎年変動する改定率を乗じて計算する為、毎年金額が変わります。

国民年金被保険者への保障

国民年金での保障は、被保険者の老齢に対する保障、被保険者の障害に対する保障、被保険者の遺族に対する保障があり、それぞれの中心になるのが次の3つとなります。

@老齢基礎年金
 (一定の年齢になった時に一定の被保険者期間がある場合に給付される年金)
A障害基礎年金
 (被保険者期間中等に障害を負ってしまった場合に給付される年金)
B遺族基礎年金
 (被保険者等が死亡した場合にその遺族に給付される年金)

一つずつ内容を見ていきましょう。

老齢基礎年金

 年齢を重ね、65歳(繰り上げにより、減額した年金を60歳より受給することも可能)に達した元国民年金被保険者に給付される年金です。受給権を得るのに被保険者期間等が10年以上必要ですが、一旦受給権が発生すれば基本的に亡くなるまでずっと年金が支給されます。

受給権を得るための条件

 いくつかの例外規定がありますが、基本的には受給権を得るのに以下の3つを満たすことが必要です。

@保険料納付済期間又は保険料免除期間(学生納付特例又は納付猶予期間を除く)を有している事
 第2号被保険者(20歳〜60歳までの期間のみ)、第3号被保険者は被保険者期間がそのまま保険料納付済期間となります。

A65歳以上であること
 又は老齢基礎年金繰り上げ申請をしている事。
繰り上げに関してはこちら

B保険料納付済期間又は保険料免除期間が合算で10年以上あること
 Bの規定は学生納付特例や納付猶予期間のほか、合算対象期間も含まれます。
合算対象期間に関してはこちら

上記3つを満たしている場合には最高で年額\777,800×改定率(令和4年9月現在)が支給されます。
基本的には保険料納付済期間が長ければ長いほど金額が大きくなり、保険料納付済期間が40年(480か月)となると満額の支給となります。
老齢基礎年金の計算方法詳細はこちら

障害基礎年金

 障害を負っている被保険者及び過去に被保険者だった者に給付される年金です。障害を負うような病気、怪我はいつ起きるかわからずそれらに備えておくことはできない為、老齢基礎年金のように保険料納付済期間に応じて年金額が変動するわけではなく障害の程度に応じて一律の額が支給される仕組みになります。

 

 但し、障害基礎年金の支給を受ける為にはいくつかの要件を満たす必要があります。

 

 障害基礎年金の受給権発生要件は以下のようになります。

受給権を得るための条件

@初診日(その障害を負う原因となる怪我、病気が発生した時に初めて病院に行った日)において、被保険者であるか以前被保険者であった者で日本国内に住所を有す60歳以上65歳未満である者

 

A障害認定日(初診日から1年6か月経過した日もしくは初診日から1年6か月経過する前に症状が治癒又は固定された日)において障害等級1級又は2級に該当するすること

 

B初診日の前日において初診日の属する月の先々月までに被保険者期間がある場合は保険料納付済期間と保険料免除期間、合算対象期間が被保険者期間の2/3以上であること(つまり、保険料未払いが被保険者期間の1/3以上ないこと)
※Bは被保険者になったばかりで保険料納付をしたことがない場合は問われません。

 また、その障害にかかる初診日が令和8年4月1日までにある場合は特例として、初診日の属する月の先々月までの一年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間、合算対象期間意外がない場合はそれ以前に長期間の保険料滞納があったとしても上記Bの要件をみたすこととされます。(初診日における年齢が65歳以上である場合はこの特例は摘要されない)

障害基礎年金の受給金額

 障害基礎年金は障害等級1級及び2級に該当する場合に支給対象となり、以下の金額が支給されます。

1級の場合

\777,800×改定率×1.25(令和4年9月現在の金額)

2級の場合

\777,800×改定率(令和4年9月現在の金額)

障害の程度の詳細はコチラ

子がいる場合の加算

 さらに障害基礎年金の受給権者に受給権を得る前から生計を維持している子(18歳になって最初の3月31日までの間にある子又は20歳未満であって1級、2級の障害のある子のいずれか)の生計を維持している場合は上記の障害基礎年金の額に一定の加算があります。以下、加算額です。

●生計を維持している子2人まで⇒\223,800×改定率/人(令和4年9月現在)

●生計を維持している子3人目以降⇒\74,600×改定率/人(令和4年9月現在)

※ここで言う生計維持とは@生計を同一としているA子の収入額が一定以下の2点を充たす必要があります。

遺族基礎年金

遺族基礎年金とは被保険者等が亡くなってしまった時に残された配偶者、子に対して給付される年金です。但し、この遺族基礎年金の目的は亡くなった被保険者等の子を保護する意味合いが強く、子のいない場合は配偶者に年金が支給されることはありません。絶対条件として、亡くなった被保険者の子と生計を同一にしていることが必要となります。
以下、遺族基礎年金を受給する条件となります。

@被保険者であるものが亡くなった

 

A過去に被保険者であった者で日本住所を有する60歳〜65歳である者が亡くなった

 

B亡くなった者が老齢基礎年金の受給権者であり、保険料納付済期間と保険料納付免除期間、合算対象期間を合算して25年以上だった

 

C亡くなった者が保険料納付済期間と保険料免除期間、合算対象期間を合算して25年以上だった

 上記@Aの場合は亡くなった日の属する月の先々月までに被保険者期間がある場合は、保険料納付済期間と保険料免除期間、合算対象期間の合計が被保険者期間の2/3以上無ければなりません。
 ただし特例として 亡くなった日が令和8年4月1日までにある場合は亡くなった日の属する月の先々月までの一年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間、合算対象期間意外がない場合はそれ以前に保険料未納期間があり保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間の合計が全期間の2/3以上なかったとしても遺族基礎年金の要件を満たすこととされます(初診日における年齢が65歳以上である場合はこの特例は適用されません)。

 

 さて、遺族基礎年金の受給額ですが、障害基礎年金の2級に相当する金額と同額となります。具体的には

●\777,800×改定率(令和4年9月現在)

となります。
また、生計を同一とする配偶者の有無、子の人数によって年金額の加算があります。障害基礎年金においては配偶者は加算の対象とはなりませんでしたが、遺族基礎年金は配偶者に対しても加算があります。ただし、先述の通り子のいない配偶者は遺族年金そのものの受給資格はありませんのでご留意ください。以下、対象となる配偶者及び子の加算額です。(全て令和4年1月現在の金額)

★配偶者がいる場合

@子が1人⇒223,800×改定率
A子が2人⇒223,800×改定率×2
B子が3人⇒223,800×改定率×2+74,600×改定率
C子が4人以上⇒B+3人を超える子1人につき74,600×改定率を加算

★配偶者がいない場合

@子が一人⇒加算無し
A子が2人⇒223,800×改定率
B子が3人⇒223,800×改定率+74,600×改定率
C子が4人以上⇒B+3人を超える子1人につき74,600×改定率

その他国民年金の給付

国民年金のその他の給付として、寡婦年金、死亡一時金、脱退一時金などがあります。
寡婦年金についてはコチラ
死亡一時金についてはコチラ
脱退一時金についてはこちら

厚生年金について

厚生年金は国民年金と同じく、ある一定の条件を充たした者は必ず加入しなければならない、いわゆる義務的な年金です。但し、国民年金は20歳〜60歳の国民の殆どが義務加入の対象となりますが、厚生年金は一定の被用者(サラリーマン等)を対象にしているという事もあり国民年金と比べ被保険者の範囲が限定されています。

 

 当然のことながら被保険者は自由な意思で脱退することはできず、国民年金と厚生年金と両方の義務加入対象となった場合は国民年金の被保険者であると同時に厚生年金の被保険者ということになります。

 

 ただ、厚生年金の被保険者は厚生年金保険料と国民年金保険料の2つを納付しなければいけないのかというとそうではなく、厚生年金保険料のみを納付すれば良いことになっています。厚生年金保険料のみを納付しているだけで国民年金と厚生年金の保障を同時に受けることが出来ます。

厚生年金の加入義務対象者はどのような人なのか

 厚生年金に加入しなければならないのは「厚生年金の適用事業に所属している、常時使用される70歳未満の者」と言われています。この要件を充たすのであればアルバイトやパートも厚生年金に加入しなければなりません。しかし、この条件を充たす者であっても

1週間の労働時間が20時間未満の場合、または1か月の労働日数が同種の業務を行う通常の労働者の3/4未満

かつ

@1週間の労働時間が20時間未満
A1年以上の雇用が見込まれない
B資格取得時決定(厚生年金加入当初の標準報酬月額を定める決定)の例による報酬が88,000未満
C学生等の厚生労働省で定める者

 

この内のいずれかの場合は厚生年金の被保険者とはなりません。

厚生年金被保険者への保障

 国民年金と同に厚生年金被保険者への保障は、被保険者の老齢に対する保障、被保険者の障害に対する保障、被保険者の遺族に対する保障があります。それぞれの中心となる保障は以下の通りです。

@老齢厚生年金
一定の年齢になった時に、老齢厚生年金の加入期間と加入期間の平均報酬月額(平均報酬額)に応じた給付を行う

A障害厚生年金
被保険者期間中に障害を負ってしまった時の給付

B遺族厚生年金
被保険者が亡くなってしまった時に、その遺族に支給される給付

 厚生年金の給付の特性として、年金額の算定は被保険者期間の長さのみを考慮するのではなく、被保険者期間の長さと共に標準報酬月額、標準賞与額を組み合わせて計算します。
 標準報酬月額、標準賞与額とは毎月得る報酬及び賞与を一定の範囲でグループ分けしたもので、厚生年金においては、年金額の決定の他毎月の保険料の算出に利用します。

 

 また、厚生年金の被保険者期間そのものはどれだけ短くても老齢厚生年金の支給を受けることが出来ます。例えば1か月だけサラリーマンになり厚生年金の被保険者になったがすぐに退職して自営業者となり厚生年金を脱退した場合でも一定の年齢になれば、その者が亡くなるまで一定額の老齢厚生年金を受給することが出来ます。
 但し、一定の国民年金における保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間が必要となります。

厚生年金の保険料

 厚生年金の保険料は被保険者が自ら納付するのではなく、所属している厚生年金の適用事業が源泉徴収という形で徴収し、徴収金額と同額の事業者負担分と併せて事業者が納付します。
具体的な保険料は以下のようになります。

●標準報酬月額(標準賞与額)×183/1,000(第一号被保険者の場合、令和4年1月現在)

 なお、この金額は厚生年金適用事業の事業主と厚生年金被保険者が共同で支払う金額であるため、被保険者の給与から徴収される保険料は基本的にはこの半額となります。

老齢厚生年金

 老齢厚生年金は65歳より支給される年金であり(昭和36年4月以降生まれの男性、昭和41年4月以降生まれの女性の場合)、1か月でも厚生年金被保険者となり厚生年金保険料を納付すれば65歳より毎年老齢厚生年金が支給されることとなります。但し、国民年金の保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間が併せて10年以上必用となります。受給できる金額は次の通りとなります。

平均標準報酬額×5.481/1,000×厚生年金被保険者の月数(令和4年1月現在、平成15年4月以降)

平均標準報酬月額×7.125/1,000×厚生年金被保険者の月数(令和4年1月現在、平成15年3月以前)

※平均標準報酬額とは平成15年4月以降の標準報酬月額及び標準賞与額に再評価率(その時代の貨幣価値の調整率)を乗じたものの総合計を平成15年4月以降の被保険者月数で除した金額となり、平均標準報酬月額は平成15年3月以前の標準報酬月額に再評価率を乗じた金額の総合計を平成15年3月以前の被保険者月数で除した金額となる。
なぜ平成15年3月以前と4月以降で計算方法が違うの?はコチラ
65歳よりも前に年金を貰える人ってどんな人?はコチラ

老齢厚生年金の加給年金

 前述のように老齢厚生年金は厚生年金の被保険者期間が1か月でもあれば受給できます。さらに老齢厚生年金受給権者が受給権を取得した当時、厚生年金の被保険者期間が240か月以上あり、かつ以下のいずれかの要件を満たした場合は老齢厚生年金に加給年金がつきます。

@65歳未満の配偶者
A18歳になった後最初の3月31日が到来していない子又は20歳未満で障害等級1級、2級の子
上記@Aの者の生計を維持していた場合は加給年金として老齢厚生年金受給者の年金に次の額を加算します。
@A1人につき223,800×改定率(子の3人目以降は74,900×改定率、令和4年1月現在)

 また、加給年金には受給権者の年齢に応じて特別加算というものが存在します。具体的には特別加算として、昭和9年4月2日以降生まれの受給権者は最大で165,800が加給年金に加算されます。

障害厚生年金

 厚生年金被保険者が障害を負った際に支給される年金です。障害基礎年金出は障害等級1級、2級の場合に支給されましたが障害厚生年金では障害等級1級、2級に加え3級の場合にも支給されます。
 障害基礎年金と違い金額は障害等級によって一定というわけではありません。具体的には年金額算出の基礎となるのは平均標準報酬額(平均標準報酬月額)及び厚生年金の被保険者期間ですが、被保険者期間が極端に少ない場合は被保険者期間を300か月とする規定があります。
 まずは障害厚生年金の支給要件要件を確認しましょう。

@初診日において厚生年金の被保険者であること
A障害認定日において、当該障害によって一定の障害を有していること
B初診日の前日において初診日の属する月の先々月までに国民年金の被保険者期間がある場合は保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間が全体の被保険者期間の2/3以上であること

 @ABの要件を充たしたうえで65歳に達する日の前日までの期間であれば障害厚生年金の受給申請をすることが出来ます。
 また、受給できる年金額は以下の通りです。

 

障害等級1級=A+B
A平均報酬額×5.481/1,000×被保険者期間(平成15年4月以降)×1.25
B平均報酬月額×7.125/1,000×被保険者期間(平成15年3月以前)×1.25
※被保険者期間の総計が300か月に満たない場合は合計で300か月とする

障害等級2級=A+B
A平均報酬額×5.481/1,000×被保険者期間(平成15年4月以降)
B平均報酬月額×7.125/1,000×被保険者期間(平成15年3月以前)
※被保険者期間の総計が300か月に満たない場合は合計で300か月とする

障害等級3級=A+B
A平均報酬額×5.481/1,000×被保険者期間(平成15年4月以降)
B平均報酬月額×7.125/1,000×被保険者期間(平成15年3月以前)
※被保険者期間の総計が300か月に満たない場合は合計で300か月とする
※障害等級3級の場合は加給年金は支給されない

 障害等級1級及び2級の受給者は多くの場合障害基礎年金も同時に受給することが出来ますが、障害等級3級の場合は障害基礎年金は受給できません。
 また、障害厚生年金にも老齢厚生年金と同じような加給年金が存在しますが加給年金の対象となるのは障害等級1級及び2級のみとなり3級は対象とはなりません。また、障害厚生年金の加給年金は老齢厚生年金と違い子に対する加給年金はありません。子に対する保障は障害基礎年金でまかなっています。
 さらに、障害等級1級、2級、3級の共通事項として障害基礎年金を受給できない場合の障害厚生年金の最低保証額(障害基礎年金の3/4)が定められています。主に障害基礎年金を受給できない障害等級3級の受給者の年金額が低額になりすぎるのを防ぐ為です。

障害厚生年金の加給年金

障害等級1級又は2級に該当する障害厚生年金被保険者が65歳未満の配偶者の生計を維持している場合は以下の金額が加給年金として年金額に加算されます。

●\223,800×改定率(令和4年1月現在)

但し、生計を維持されている65歳未満の配偶者が自ら一定額以上の老齢厚生年金を受給できる場合や、配偶者が障害基礎年金、障害厚生年金を受けることが出来る場合はその限りではありません。
障害が治った時の保障 障害手当金に関してはコチラ

遺族厚生年金

 厚生年金の被保険者等が死亡した場合に、その遺族に対する保障です。遺族基礎年金は主に子に対する保障でしたが、遺族厚生年金は考え方が違い、保障を受けられる遺族の範囲が非常に広がっています。
 具体的には子の他に配偶者、父母、孫、祖父母であって亡くなった厚生年金被保険者等によって生計を維持されていた者になります。但し、妻以外には支給されるための条件があり、夫や父母、祖父母は55歳以上であること、子や孫は18歳になった最初の3月31日が到来していないか障害等級1級、2級の場合は20歳未満であることが条件です。
 それでは、どの様な者が亡くなった場合に遺族厚生年金が支給されるのかを確認しましょう。厚生年金の被保険者であっても亡くなれば必ず遺族厚生年金を受給できるわけではありません。具体的には以下のような要件があります。

@厚生年金の被保険者が亡くなった(短期要件)
A被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した後に被保険者であった間に初診日のある傷病によって初診日より5年が経過する前に亡くなった(短期要件)
B障害等級1級、2級の厚生年金受給権者が亡くなった(短期要件)
C老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間が合計で25年以上)又は保険料納付済期間と保険料免除期間が合計で25年以上の者が亡くなった(長期要件)

※短期要件の場合は急浮上率の読み替えが無く、被保険者期間が短い場合は300か月とみなす特例がある。また、短期要件と長期要件のいずれも満たす場合は特段の申出がない場合は短期要件とみなす
被保険者期間の読み替えに関してはコチラ
 また、対象となる遺族が複数人いる場合は条件を満たした者全員が支給されるわけではなく、優先順位が定められています。優先順位は

@配偶者及び子
A父母
B
C祖父母

となっています。
以下、支給される年金額となります。(全て令和4年1月現在)

老齢厚生年金の受給権のある妻意外の親族が受給権者の場合 A+Bの合計額
A亡くなった被保険者等の平均報酬月額×7.125×被保険者期間(平成15年3月以前)×3./4
B亡くなった被保険者等の平均報酬額×5.481×被保険者期間(平成15年4月以降)×3/4
※短期要件に該当する場合、亡くなった被保険者等の被保険者期間が300か月未満の時は300か月とする

配偶者が受給権を取得しかつ老齢厚生年金の受給権を有している場合(65歳以上に限る) A+B+Cの合計額
A.亡くなった被保険者等の平均報酬月額×7.125×被保険者期間(平成15年3月以前)×3/4×2/3
B.亡くなった被保険者等の平均報酬額×5.481×被保険者期間(平成15年4月以降)×3/4×2/3
C.自らの老齢厚生年金の額の1/2
※短期要件に該当する場合、亡くなった被保険者等の被保険者期間が300か月未満の時は300か月とする
※老齢厚生年金の受給権のある妻以外の親族が受給権者の場合の計算の方が年金額が高額になる場合はそちらで計算する

中高齢の寡婦加算

 中高齢の寡婦加算とは、遺族厚生年金の受給権者が死亡した被保険者等の妻であり、かつ一定の条件を満たした場合に加算される制度です。自分の老齢年金が支給されるまでのつなぎのような制度なので、65歳に到達すればそれ以降はこの制度を受けることはできません。

 

 以下のいずれかを満たすことが中高齢の寡婦加算を受ける為の条件です。
@遺族厚生年金の受給権を取得した時点で45歳以上65歳未満であること
A40歳に達した当時、死亡した遺族の子で遺族基礎年金の支給要件に該当する者と生計を同じくしていたこと

 

 なお、遺族厚生年金の受給権の要件で、長期要件に該当していた場合は被保険者期間が240か月以上l無ければ中高齢の寡婦加算を受けることはできません。
 中高齢の寡婦加算の金額は遺族基礎年金の3/4(583,350、令和4年9月現在)となっています。
経過的寡婦加算に関してはコチラ

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